ナオへ
この間、久しぶりに会ったよね。
「最近、彼氏と別れちゃった」
って、あの頃と変わらない、いやもっと可愛くなった笑顔で話すなんて。
オレが君の事、まだ好きだって知ってるくせに。こんなのかっこ悪いかもしれないけど、また付き合ってくれたら、あの頃みたいに、いや、あの頃以上にもっと君の事を楽しませることが出来ると思うんだ。僕は、また好きだって言ってみたいんだ。

マキへ
色々、ごめんな。君と居た時間はホントに楽しかった。
でも、好きじゃなくても、人ってああなれるって、君だって分かってるだろ?
前の彼氏がそうだったって良く話してたよね。
でも、オレだって、そんな話を聞いて切なくならないなんてわけないんだぜ。
こんなこと言うなんて自分勝手だと言うかもしれないけど幸せになってくれよ、心から。

アミへ
あんまりおしゃべりしないけど、意思の強さみたいなものを感じて、君の事を魅力的だと思った僕は愚かであったと教えてくれたとしか、感謝の気持ちは表すことが出来ない。
あの日、ピクニックへ行って、木綿のハンカチに包まれた黒い果実を一緒に食べたよね。僕は苦くて吐いちゃって、せっかく君が勧めてくれた果物だと思ってひどいことしたなと思ったら、それはベラドンナの毒、アトロピンで、
エキゾチックな緑色だった君の瞳が、死を迎える瞳孔の拡張で真っ黒になって、僕をまっすぐ見据えただろう。
その時、心から死ねと思った。君には死がふさわしい。
地獄で苦しみ続ける君は、それが君自身が望んだ魂だったんだろうよ。

トモへ
キミの美い、吸い込まれるような瞳に現れる、真夜中のすべてを飲み込む真っ黒な海の上に浮かぶ呪われた海賊達の魂が炎となって浮かび上がったような強い欲望の輝きを、僕は忘れることは出来ない。
僕の経済的な生産性は、あの頃から、たぶんこれからも君の価値観から決して逃れることは出来ないだろう。僕はそれによって、初めて身の程を知ることが出来た。そしてそれを一生乗り越えることは出来まいと悟った。
未だ僕は、見る夢がある。真夏の暑い日の、青々とした真昼の海、生命の息吹を感じることの出来る海から、真っ白な南の砂浜へ君の名前を
呼びながら上がってみたら、いつの間にか、青々とした緑の森の中に居る。
僕は叫ぶ「トモ!こんな冗談止めてくれよ!」、これが冗談じゃない事を分かっていながら。
森から抜け出そうと走り出すと、急に耳元に恐ろしい羽音を感じる。スズメバチが、生かさず殺さず、僕に付きまとい始める。
スズメバチは、僕に触れることはない。しかし僕が走り出したり、座って休んだりすると、その恐ろしい羽音によって死のプレッシャーを僕に与えることが出来る存在なんだ。
もう、この森を死ぬまで歩き回る覚悟をしたその時、ようやく朝が来るんだ。
この夢から覚める朝を、僕がどれほど待ち焦がれているか、君に想像できるかい?

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unk

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